大庭のエッセイ


「どまん中料理」


  袋井市における名物料理とは何だろう。
 今を遡ること約200年前、江戸時代における我がまちの料理は「日本鹿子」「毛吹草」等の書物にはウナギ、すっぽん、鮒のするめ焼き、タケノコ等が袋井の江戸時代の名物としてあげられている。
 ところでこの中でも識者にも分からないのは、鮒のするめ焼きだそうだ。以前、茨城方面に出張に出かけた際、鮒の雀焼きという商品を見かけた事がある。雀が止まり木に寄り添って留まっているように、竹串に小さな鮒を刺したもので、おせち料理でも見かけるものである。私が、子供の頃、曾祖父が殺生(魚取り)が好きで、捕った魚を開き塩をかけて天日に干し乾かしたものを炙っては食べていた。子供心に香ばしくかつ生臭い臭いは今も憶えている。勝手な推測だが、おそらくあのカリカリになった「干した鮒」あれが=鮒のするめ焼きではないかと思っている。
 他に、当時の料理はどんなものであったんだろう?
 たまたま、購入した江戸の風俗を記した本にこのような記述があった。それによると、文化10年(1813年)大阪の豪商、升屋平右衛門という一行、(医師一人を含む旅人十人の一行)の道中記の袋井宿における食事の中味は、次のように振る舞われたとの記録が残されている。
 それによれば、汁碗には「大根」、平皿には「鴨・水菜・ゴボウ・人参・昆布」、坪椀には「濃い目の味噌汁・芋・麩」、刺身には「大鰯の作り身・わかめ・紅寒天・うど・ショウガ」これだけの品数がお膳として並べられたとされている。
 なかなかのご馳走だ。
 実は、こんな史実を引き合いに市の40周年記念のどまん中料理コンテストの進め方について提言した事がある。結果、現代流の食材で、今風の作品が寄せられ、優秀作品を表彰、レシピで市民に紹介、この程度で終わってしまった。
 今年2001年、市では全国に発信する銘産品づくりをしようということで「袋井市名産品づくり推進協議会」なるものを設立した。これは袋井発の銘産品をあらゆる角度から検討し創出してみようとの試みだが、まずは、我がまち袋井に今ある料理で他に誇れるものは何なのか、その棚卸しをしてみることが大事ではないかと思う。
 いずれにせよ、今年は東海道宿駅400周年記念、こんな年だからこそ、古き袋井の歴史に思いを馳せながら、その中に何かこれを探すキーワードを見つけ出すことが出来ればおもしろいのではないだろうか。 2001.5
 



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